鏡筒の塗装など、不均一で光沢がない。そこで、自動車用の塗料で再度塗り直したが、以前に塗った塗料を十分に落とさずに、プラサフ(下地処理用の塗料)を塗ったものだから、表面がひび割れて、以前より汚くなってしまった。
自分でレストアするのは、もう相当な時間と塗料代をかけてしまったので、自作派の私も、もういい加減に嫌になった。もはや、プロの板金屋さんに頼むしかあるまい。
ということで、この際だから、接眼部もマイクロフォーカサーに交換することにした。物は笠井トレーディングのI.D.112mmのものが安価だったのでそれに決めた。届いた箱を開けてみると、なかなか高級感のある代物である。ただ、そのままでは、接合部の径が太くて取り付けられないので、近所の鉄工所で外周を旋盤で少し削ってもらいビス留めし、ついでに鏡筒も短くカットしてもらって、ペンタプリズム使用でもピントが合うようにした。
さて、次は鏡筒の塗り直しだが、実はそれよりも大きな問題がある。対物レンズである。光にかざしてよく見ると、コーティングがまだらになっており、はなはだよろしくない。
それで、知人に教えてもらったヨシカワ光器研究所に再コーティングを依頼する事にした。早速電話をすると、鏡筒の塗装費用もそんなにかからないということなので、同時にそちらの塗装もお願いすることにし、鏡筒ごと、まるまる一本、宅配便にて送った。
しばらくして、ヨシカワ光器から電話がかかってきた。
それによると、コーティングは変色しているが、光学性能には何ら影響がないので、再コーティングせず、レンズの特殊洗浄だけをして表面に付着している塵を除去すればよく見えるようになるでしょうとのこと。
このレンズはタカハシ製のレンズの中でも非常に滑らかに磨かれているので、コーティングもきっちりと付着しており、それを剥がして再コーティングをするのは、かえって良くないでしょう、後玉のフローライトは、もともとコーティングされていませんが無傷ですよ、ということだった。
・・・・・と、ここまでが昨年末の話。
年が明けて、鏡筒がもどってきた。梱包を開けたとたん、あまりの美麗な仕上がりに驚いた。淡いベージュに塗られた鏡筒は、笠トレの接眼部ともよくマッチして、どこぞの舶来物の鏡筒のような高級感がある。もはや、タカハシ製FC100Nの面影はほとんどなく、ヨシカワ光器製FC100N改というところか。さすが、プロの仕事だ。
添付されていた手紙には、「設計に無理のない、又、大変丁寧に磨かれたレンズ(検査にて実感いたしました。)が組み込まれています。」と書かれていた。「筒内のツヤ消しにつきましては、ワンランク上の高ツヤ消しにて処理(フード内〜接眼ドロチューブ内まで。)いたしましたので、スッキリとした視野イメージを高めていると思います。」とのこと。
早速、星を覗いてみたが、あれ?どうもピンボケにしか見えないな・・・光軸は、ほぼ合っているようだが、レンズを明かりにかざしてもニュートンリングが見えない・・・。ヨシカワ光器に電話すると、運送中にレンズの前玉と後玉がずれてしまったかもしれないとのこと。タカハシのものは、割合ゆるやかにレンズを挟んであるので、運送屋さんが乱雑に扱うとたまにこういうトラブルもあるらしい。レンズとセルの間に薄いラシャ紙を挟んでみます、ということで、着払いでヨシカワ光器に送り返すと、3日後に調整されたものが帰ってきた。運送中のトラブルにもかかわらず、迅速な対応で、なかなか良心的な業者さんだと、感心。
晴れ間を待って夜空に筒先を向けると、今度は完璧な星像だ。タカハシ、ヨシカワともに良い仕事してますねぇ。
この望遠鏡は、もともと数年前に、大阪の協栄産業でたしか6万円程度で買った中古品(今なら、この値段では買えないだろう)なのだが、素性の良いものだったのだろう。
個人的には屈折としての使用頻度は依然としてパワフルな中国製15センチF8アクロマートが高く、星雲星団など意外なほどに深みのある像を結ぶのだが、こと惑星に関しては、このフローライトが全くもってすばらしい。2005年の火星接近時など、本当に良く見えた。
現在、10センチのフローライトなど、どのメーカーも製造していないし、F10というフローライトにしては長いタイプも眼視用に限定生産?されたものなので、これは貴重な掘り出し物だったかもしれない・・・。



